[ 真夜中 ]









ふと目覚めれば、隣にセフィロスが寝ていた。
驚きつつも頭上の時計を確認すると、深夜2時を少し過ぎたところだ。
いつの間に忍び込んで来たのか。クラウドは自分にひっついて寝こけているセフィロスを凝視する。
顔に纏わりついた髪を手の甲でかき上げてやると、セフィロスが小さく身じろぎした。

「ザック・ス・・・・・?」
「・・・・あのさぁ」

自嘲交じりに笑う。笑うしかない。

「幾らなんでも、ひどくない?勝手に俺のベッド入ってきて、なんで他の男の名前呼ぶかなぁ」
「・・・クラウド」

漸く現状が読み取れてきたらしい。ゆっくりと起き上がって、辺りを見回す。

「すまん。寝惚けてた」
「寝惚けてここまで来たわけ?」
「・・・俺は夢遊病か。来ようと思って来たに決まっているだろう」

むっとして返されて、クラウドは心中溜め息を吐いた。早いところ寝付かなければ、明日の早朝勤務に響くのだが。

「で、なんで来たの?残念だけど今夜は抱いてやれねぇよ。明日早いから」
「な、ふざけるな!こっちからお断りだ、俺は疲れてるんだ」
「だからさあ」

今度こそ溜め息を表に出した。クラウドはいっそ本当に押し倒してしまいたいと思ったが、そう出来ない理由は今言った通りだ。セフィロスの無防備な姿を前にして下半身が無駄に疼くのを自覚して、頭が痛くなる。

「・・・・いーや、もう寝る」

クラウドはこれ以上寝起きで意識がはっきりしていない人間と口論してもしょうがないと布団を被りなおした。
セフィロスは未だ半身を起こしたまま不満そうにクラウドを睨み付けている。

「・・? ほら」

クラウドが、布団を捲って一人分の隙間を作ってやる。面喰って目を丸くしたセフィロスだったが、あまり待たせ過ぎると彼が機嫌を悪くすることはわかっているので慌てて隣にもぐり込んだ。

「おやすみ」

掠れた声で囁かれて、セフィロスのぼやけていた意識は確実に戻った。

「お、おや、すみ」

慣れない言葉に、クラウドがくすりと笑ったのがわかった。
セフィロスはこんな時間にここへやってきてしまった訳を話そうかと思ったが、言うだけ野暮なので、黙って目を閉じた。