嫌な季節のはずだけど。



手袋をとりあげ、あらわれた人差し指には、彼の肌と同じくらい白い包帯が巻かれていた。
「どうしたのそれ。突き指?」
「ああ、別に怪我じゃない。もう取ってくれ」
セフィロスに言われて留め金を外す。ほどいていくと、包帯は二重にしか巻かれていなくて、
太く見えたのは指自体の腫れのせいだと気がついた。
「赤くなってるよ」
「昨日寝ている間に虫に指されたんだ。かゆいからかいてたらザックスに巻かれた」
―――おかんかザックスは。
呆れつつ、そっと触れると、常ならず熱を持っていて、心配になる。
「痛い?」
「べつに」
興味なさげに嘯きつつ、伸びた爪を押し付けて「×」を刻んでいる。
「こら、悪化するぞ」
「かゆい」
3つ模様が出来上がった時点で、包帯を拾い上げセフィロスの腕を強引に掴んだ。
嫌がる指を押さえつけて包帯を巻きなおす。
「ザックスが正しかったな」
セフィロスが不満そうに「むれる」と唸ったが無視した。
「ただの蚊だと思うけど、明日までは掻くの防止に巻いてろ」
「風呂は」
「・・・・出たら巻いてやるから」
はいおしまい、と包帯の上に口づける。
それを観て、セフィロスが神妙な顔で
「あいつと間接キスだな」と言った。

風呂入ってる間に新しい包帯用意して、あらためてキスしちゃる。



end.