[戯言]
「誰か為に生きるとか、まして自分の為に生きるなんてことは今更出来るはずもないんだ」
「だからといって必要とされているから生きていると言うほど自惚れてもいない」
続けた言葉は勝手な推測。しかしセフィロスはその碧眼を和らげた。
「それじゃあ何も残らないな」
「それは俺たちがまだ若いからだ」
噛んで含めるような、どこか達観した物言いで諭してくる。こういうのを癒されるっていうんだろうか・・・
「ああ、・・・お前、やっぱり面白いな」
上体を折って笑う男にクラウドは図らずも頬を赤く染めた。
揃えられた足を照れ隠しに指で弾いて反撃する。
「笑うなよ。あんたが真面目に聞いてくるから・・・」
「・・っ・・・・すまない」
尚も笑い続ける男は掌で顔を覆って身を震わしている。クラウドは不貞腐れてベッドに倒れ伏した。
「・・もういい。寝る」
「悪かった、・・・クラウド。ありがとう」
依然として笑みを含んではいたが、はっきりと耳に届いた微声に思わず体ごと向き直る。
「・・・年下からかって楽しい?」
ふいに贈られた感謝の言葉にクラウドの憤りは誤魔化されてしまった。
訝しげにこちらを凝視する青年に、セフィロスは自分はいつも言葉が足りなくていけない、と改めて思った。
「多分、お前なんだろう」
軽く笑んで、目を閉じた。
そういえば、自分は随分疲れていたことを知る。
セフィロスの横でベッドに顔半分を沈めていた存在が僅かに身動ぎした。
クラウドにはよく分からなかったが、何となく嬉しいような気がした。
「あんた・・・・・・まあいいや、・・・俺も見つけられた気がする」
「そうか」
「うん・・・」
目覚めれば絡み合っているお互いの腕に、今更何をと皆は言うだろう。