「好きなの!」 そう亞里亞ちゃんは言った。 噛み締めた唇と、八の字になった眉が、彼女を精一杯に見せてた。 事実、精一杯だったんだろう。 「好きなの!」 それならどうして、そんなに辛そうな顔をするの と姫は思って、 口の中でもつれる舌で乾いた唇を慎重になぞった。