油断した。 一瞬の隙をついて、異形の獣は千切れかけた触手を繰り出していた。 次いで感じたのは、左眼に走った燃えるような感覚。紅く染まった視界。 平素なら、こんなのは掠り傷のようなものと思うだけだろう。 「しっているか」 弱弱しく痙攣する死にぞこないに刃を突き立てる。 あいつが好きだと、言った眼だ >>